第7回日本抗加齢医学会総会受付

2007年7月20日、21日の2日間にわたり国立京都国際会館にて第7回日本抗加齢医学会総会、22日には同志社大学構内にて市民公開講座を開催いたしました。

第7回総会では13のシンポジウム、6つのワークショップ、8つのランチョンセミナー、2つのサテライトセミナー、招待講演・教育講演それぞれ2つと多彩なプログラムに加え、156の一般演題があり、展示企業数は64社90小間、総参加者数は2600名を超える規模になりました。

懇親会には800名以上の参加者が集結し、同志社大学ブラスバンドの演奏やチアガールによる演技、そして京都伝統文化である舞妓チームによる踊りを楽しみ、学会テーマ「East meets West」を実践すべくあちこちで参加者の活発な交流の輪ができていました。

7月22日の午前中実施された第3回専門医指導士認定医試験には430名の受験者があり、午後の市民公開講座には600名の参加者がありました。

以上、皆様のお陰をもちまして成功裡に終えることができました。総会運営者を代表して皆様にお礼申し上げます。

第7回日本抗加齢医学会総会 会長
同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授
米井 嘉一



演題発表において以下のとおり総会長賞を授与いたしましたので、併せてご報告申し上げます。

【 最優秀奨励賞 】 
演題番号:P002
演題名:核転写因子 NF-κB を中心とした炎症進展と細胞死の相互作用の解明
筆頭演者:高瀬 敦1 2 
連名者:Cunningham Patrick2、Guo Rongqing2、Hack Bradley2
林 松彦3、菱川 慶一1、Quigg Richard2、 藤田 敏郎1
1東京大学大学院医学系研究科 腎臓内分泌内科 腎臓再生医療講座
2シカゴ大学医学部 腎臓研究室
3慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌内科
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【 奨励賞 】 
演題番号:P011
演題名:Cre-loxp システムを用いた心不全モデルマウスの解析
筆頭演者:川上 哲1 2 3
連名者:清水 孝彦1 2 3、野尻 英俊1 4、船越 政史1 5、白澤 卓二1 2 3 5
1 東京都老人総合研究所 老化ゲノムバイオマーカー研究チーム
2 潟Aンチエイジングサイエンス  
3 東京農工大学大学院
4 順天堂大学医学部
5 首都大学東京大学院
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【 奨励賞 】 演題番号:P133
演題名:6ヶ月間のカロリー制限は中年齢ラットの虚血ストレス耐性を改善する
筆頭演者:新村 健1
連名者:玉城 香代子1
1 慶應義塾大学医学部内科・老年内科
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【 奨励賞 】 演題番号:P048
演題名:大豆イソフラボンとクルクミンを主とする食品(サプリメント)の、生検陰性患者の PSA 値に対する効果
筆頭演者:堀江 重郎1
連名者:上山 裕1、安田 弥子1、井出 久満1、武藤 智1
1 帝京大学医学部泌尿器科
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P002
核転写因子 NF-κB を中心とした炎症進展と細胞死の相互作用の解明
筆頭演者:高瀬 敦1 2 
連名者:Cunningham Patrick2、Guo Rongqing2、Hack Bradley2
林 松彦3、菱川 慶一1、Quigg Richard2、 藤田 敏郎1
1東京大学大学院医学系研究科 腎臓内分泌内科 腎臓再生医療講座
2シカゴ大学医学部 腎臓研究室
3慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌内科

【目的】我々はこれまでに腎臓、主に蛋白尿に伴う尿細管障害時での核転写因子NF-κBが、炎症において中心的な役割を果たす事を証明してきた。一方、NF-κBは細胞死にも関わっている事が知られているが、炎症と細胞死との相互関係は未だ明らかではない。
【方法】今回、腎臓構成細胞の多くを占める近位尿細管細胞を使って、NF-κBを中心とした炎症進展と細胞死の相互関係をエンドトキシン、LPS刺激にて検討した。その結果、分泌蛋白であるclusterinがそのmediatorの一つになっている事がわかった。さらにclusterin、NF-κB、NF-κB抑制蛋白であるIκBα、の各siRNA silencerを使ったTarget knockdown処置にて、MAPK、NF-κB、AP-1、アポトーシス、アポトーシス関連因子などへの影響を確認した。
【結果】LPS刺激にてNF-κB、clusterin、AP-1、 アポトーシスなどは増加を示し、各siRNA処置にてNF-κBとclusterinがERK、JNK、IκBαを介して、互いに抑制している事、clusterinがNF-κB依存症Bcl-xL発現を抑制し、そのアポトーシスを促している事が証明された。
【結語】炎症と細胞死の相互調節は細胞刺激の種類や程度、時期によって異なり、その多くは、早期に炎症性因子が優位に働き、その後晩期に細胞死因子が優位に働く、この場合の細胞死は炎症を沈静化するように働くと推測され、これらの機序は生体のホメオスターシスでの防御機構の一つを担っていると考えられる。この研究において、ある炎症が終息する過程においてclusterin、細胞死が関与している事、この機序の破綻により炎症が持続進展する事などが示唆され、炎症進展機序の一部が解明されたと考えられる。更に、これらの機序は加齢に伴う免疫・炎症の反応低下にも深く関わっているものと考えられ、今後益々の研究発展が期待される。

P011
Cre-loxp システムを用いた心不全モデルマウスの解析
筆頭演者:川上 哲1 2 3
連名者:清水 孝彦1 2 3、野尻 英俊1 4、船越 政史1 5、白澤 卓二1 2 3 5
1 東京都老人総合研究所 老化ゲノムバイオマーカー研究チーム
2 潟Aンチエイジングサイエンス  
3 東京農工大学大学院
4 順天堂大学医学部
5 首都大学東京大学院

【目的】慢性心不全では、呼吸困難や身体活動が低下するなどQOLが著しく障害される。そしてその罹患率は、加齢とともに増加する。加齢に伴う慢性心不全の大半は、左室収縮機能の低下によるもので、その原因は非虚血性の拡張性心筋症と虚血性心疾患に大別される。その内心筋症は肥大型と拡張型とに大別され、難治性の疾患であり社会的関心は極めて高い。これまでの研究より活性酸素傷害が心不全発症のメカニズムに起因すると報告されているが、活性酸素傷害と心疾患とを直接結びつけるような証明はない。
【方法】我々は、心臓における長期的な活性酸素傷害の影響を解析するために、生体において活性酸素の主要な発生源であるミトコンドリアの基質に局在するMn-SODを、Cre-loxpシステムを用いて心筋特異的に欠損させ、心筋特異的Mn-SOD欠損マウスを作製した。
【結果】心筋特異的Mn-SOD欠損マウスの組織、心機能を対照群と比較したところ、心臓重量は約2倍と有意に重く、心エコーの結果からは左室内径に有意な拡張が認められ、EF値も2カ月齢で約21%、4カ月齢では約16%と心機能の著しい低下が観察された。またマウスの自発運動量をホイール装置付きケージで飼育観察したところ、自発運動量は著しく減少していることが明らかとなった。寿命解析を実施したところ生後半年以内には全例死亡した。
さらに心機能の低下と心筋ミトコンドリアの関係を調べるために、心筋より単離したミトコンドリアの呼吸鎖複合体活性を測定したところ、その活性は有意に低下し、タンパク質レベルでの呼吸鎖複合体の減少も観察された。ATPの産生量が50%に減少し、ROSの産生量は2倍に増加していた。
【結語】活性酸素傷害による心筋ミトコンドリア機能不全が心不全発症のメカニズムに強く関与していることが示唆された。本マウスは、活性酸素が関与するヒト心不全の治療及び予防効果を研究する上で非常に有用なモデルである。


P133
6ヶ月間のカロリー制限は中年齢ラットの虚血ストレス耐性を改善する
筆頭演者:新村 健1
連名者:玉城 香代子1
1 慶應義塾大学医学部内科・老年内科
【目的】加齢に伴う心臓のストレス応答能障害は、高齢者における虚血性心疾患の重症化や心不全発症率増加に寄与すると推測される。よってこの心血管系の老化を制御する新たな方法を開発していくことは、臨床的意義があると考えた。我々はこれまでに短期的なカロリー制限(CR)が加齢に伴う虚血ストレス応答能障害を改善することを明らかにしてきた。今回我々は、1)長期に渡るCRが中年期動物心の虚血ストレス応答能障害を改善しうるのか、2)その機序は短期的CRと同様かを明らかにする目的で6ヶ月間CRを継続した。
【方法】6か月齢のFischer344雄性ラットを無作為に2群に分け、1群は食餌自由摂取群(AL)とし、他の1群はCR群とした。12カ月齢時に嫡出心をLangendorff手技で灌流し、虚血再灌流傷害を誘導した。左室機能の回復、灌流液中の逸脱酵素、抽出蛋白を用いたWestern immunoblotting、血清adipokine濃度を対比した。一部のCRラットでは、心臓摘出前2週間にわたってL-NAMEを飲水にまぜることにより持続的なNOSの抑制を試みた。
【結果】CR群では2%体重が減少し、AL軍では42%体重が増加した。CR群では血清leptinは低値で、adiponectinは高値だった。CRにより虚血再灌流後の左室機能回復は改善し、ischemic preconditioningによる心筋梗塞縮小効果も回復した。短期的CRとは異なり6ヶ月間のCRでは、リン酸化AMPKの心筋発現量は低下していた。CR心では核分画におけるSir2が増加し、CRによる核へのshuttling亢進が推測された。L-NAMEを長期投与したCRラットではSir2の核へのshuttlingが抑制され、CRによる虚血ストレス応答能改善効果は消失していた。
【結語】CRは中年齢心の虚血ストレス耐性を改善した。この機序において、一酸化窒素によるSir2の機能修飾の関与が示唆された。


P048
大豆イソフラボンとクルクミンを主とする食品(サプリメント)の、生検陰性患者の PSA 値に対する効果
筆頭演者:堀江 重郎1
連名者:上山 裕1、安田 弥子1、井出 久満1、武藤 智1
1 帝京大学医学部泌尿器科

【目的】PSAが高値であるにもかかわらず生検で癌が検出されなかった場合の対応についてはコンセンサスがなく、患者は不安を訴えることも少なくない。PSAは前立腺癌にのみによって上昇するのではなく、炎症によっても増加することが知られている。また前立腺における炎症は発癌の母地となることが最近注目を集めている。したがってPSA高値者は生検で癌が発見されなくても、前立腺癌ハイリスク者である可能性がある。本研究では生検で癌が発見されなかったPSA高値者に大豆イソフラボンとウコンの主な成分であるクルクミンを主とする食品(サプリメント)を投与することにより、PSA値の推移を二重盲検試験にて検討した。
【方法】前立腺生検を行い癌が発見されなかったものの、再生検が必要と判断された年齢が50歳以上80歳以下患者89名に、インフォームドコンセントを得て、発酵大豆発芽抽出物およびクルクミンエキス末を主な成分とする錠剤(サプリメント錠)とプラセボ錠を無作為化の方法を用い割り付けた。二重盲検法により患者は一日2錠(1回1錠、朝夕食後)のサプリメント錠またはプラセボ錠を6ヶ月間連日服用し、開始時、3ヶ月後、6ヶ月後にPSA、SF36-v2による健康に関するQOLを測定した。本研究は帝京大学倫理委員会において承認されている。
【結果】開始時のPSA値の中央値はプラセボ群5.74 (0.71〜38.8)、サプリメント群7.51 (2.88〜56.3)であった。それぞれの群の開始時のPSA値を10以上と10未満にわけ、6か月服用後のPSA値の推移を比較したところ、PSAが10以上のサプリメント服用群で有意にPSAが低下した。
【結語】発酵大豆発芽抽出物およびクルクミンエキス末は、PSA高値群でPSA減少効果があり抗炎症効果を持つ可能性がある。